最も多機能で定番の精油、アロマテラピーの元祖・ラベンダー精油
初夏を感じさせる爽やかな薄紫色の花が一面に咲くラベンダー畑。日本では、北海道の富良野や河口湖などのラベンダー畑が有名ですが、ラベンダーの持つ爽やかな色と心安らぐフローラルな香りで愛され、人気の観光名所として知られています。
そんなラベンダーの香りは、植物の香り(精油)を使って心身の不調を癒す療法、アロマテラピーの世界を語る上で欠かせない存在でもあり、アロマテラピーの元祖と呼ばれているほどなのです。
ラベンダー精油のストーリー
アロマテラピーは、香りを意味する「アロマ」と療法を意味する「テラピー」を組み合わせた造語ですが、この言葉はフランス人の科学者、ルネ・モーリス・ガットフォセによって作られました。
1910年、彼は実験中に大きなやけどを負い、すぐに治療を受けましたが経過が悪く、その傷にラベンダーの精油を塗布しました。すると治癒が早まり傷跡すら綺麗に治ったことから、精油を用いた治療法について研究し「アロマテラピー」という言葉が生まれたのです。
このことから彼は「アロマテラピーの父」としてこのエピソードとともに、アロマテラピーに関する試験や検定の教科書にも必ず登場します。
ラベンダー精油の特徴
一般的にアロマテラピーで使われるラベンダーの種類には、イングリッシュラベンダー(真正ラベンダー)、タスマニアンラベンダー(ラベンダー・アグスティフォリア)、ラバンジン、フレンチラベンダー、スパイクラベンダーなどがあり、それぞれ香りや特性・作用に微妙な違いがあります。
ここで、そんなラベンダー精油の特徴について見てみましょう。
アロマの代表格
ラベンダーの香り(精油)は畑だけでなく、香水、ポプリ、石けん、入浴剤や芳香剤、柔軟剤、化粧品、食器洗剤、洗濯洗剤、さらにはハーブティーや料理の味付けとしてなど様々な用途に使われていることから、ラベンダー精油は世界で最も使われている精油と呼ばれることもあります。
ラベンダー精油には、他の香りを邪魔せず、他の精油とのブレンドしやすいことに加えて、“最も多機能なアロマオイル”と称されるのにその理由があります。
体への期待される効果の代表的なものを挙げると、ルネ・モーリス・ガットフォセが発見した火傷のほか、切傷、手荒れ、マメ、虫刺されなどの外傷、頭痛、打撲、筋肉痛、肩・腰のこり、足の疲れ、胃痛、月経痛、高血圧、喘息の予防、花粉症といった運動器系や呼吸器系から、免疫力のケアなどなど。
このようにラベンダー精油はとっても多機能で、アロマの初心者がはじめに揃えるべき精油のひとつとしてもラインナップされています。
心とお肌への主なはたらき
ラベンダーの語源は「洗う」を意味するラテン語、lavare(ラウァーレ)だとする説がありますが、語源の通り、心安らぐフローラルなラベンダーの香りは、溜まってしまった感情を洗い流して心の静けさを取り戻し、本来の自分を再構築する手助けになると言われています。
ラベンダーがやけどの治癒に効果を発揮するということは先述の通りですが、この炎症を沈めて皮膚の再生を促すはたらきで、お肌を引き締め、乾燥しがちな肌にうるおいを導くことが期待されています。