コスメにとっての防腐剤の役割とその安全性とは?

コスメにとっての防腐剤の役割とその安全性とは?

コスメを購入する際、パッケージに記載された「防腐剤フリー」「パラベンフリー」などの表記が気になったことがあると思います。商品の品質を保つために配合されている「防腐剤」ですが、自然派コスメやオーガニックコスメ、フリー処方にこだわった商品も増えてきている今、防腐剤は肌にとって悪影響なのではないかというイメージを持っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回はコスメを選ぶ際に知っておきたい防腐剤を配合する理由やその安全性についてご紹介していきます。

目次

コスメにとっての防腐剤の役割とは?

「防腐剤」は、コスメを最後まで安心して使用するために必要な成分です。コスメにはアミノ酸、糖類、天然油脂などカビや微生物のエサとなる成分も配合されています。コスメは常温での保存がほとんどな上、開封後も数ヵ月かけて使用することが多いので、そのままの状態ではすぐに腐ってしまいます。さらに、クリームなどジャータイプは容器に指を直接入れて中身をすくったり、パウチタイプに入ったフェイスマスクなら取り出す際にまだ使わないマスクに手が触れてしまうこともありますよね。

開封後はさまざまな要因で雑菌が付着する可能性があり、そのコスメを肌に塗布したり貼ったりすることで肌トラブルに繋がる恐れもあります。そこで配合されているのが「防腐剤」です。配合することで菌の繁殖を抑え、微生物などの繁殖を防ぐ役割を果たしてくれます。

コスメに配合された「防腐剤」は肌にとって危険なもの?

コスメに関してその安全性と安定性を守るため国が定めた法律「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(旧薬事法)」(以後、医薬品医療機器等法」)にて、コスメに配合できる防腐剤が定められています。

国内で製造されているコスメは、医薬品医療機器等法で認可されている防腐剤しか配合されていません。さらに、それぞれの成分の配合率や使用可能部位(顔や体)なども細かく規定されています。つまり、安全性が認められたものを適性な量だけ配合しているということになります。例えば大容量タイプのフェイスマスクと個包装のフェイスマスクで防腐剤の配合率に違いはありません。

ちなみに、輸入化粧品でも国内で販売されている商品は同じルールに従っています。

防腐剤の表記名を知れば、購入の際に判断できるようになる

化粧品に配合される防腐剤としては、パラベン類(エチルパラベン、メチルパラベン、ブチルパラベン・プロピルパラベン)がよく知られていて、「パラベンフリー」などの表記も目にすることがあると思います。薬用化粧品(医薬部外品)では、パラベンは「パラオキシ安息香酸エステル」と表示されます。

その他の防腐剤には、「フェノキシエタノール」「安息香酸ナトリウム」などがあります。なので、パッケージに「パラベンフリー」の記載があっても、防腐剤フリーというわけではないので、気になる方は全成分表示を確認するとよいでしょう。

敏感肌の場合、防腐剤が肌ダメージを引き起こす可能性も?

先にも書いたとおり、コスメに配合されている防腐剤は医薬品医療機器等法によって安全性が十分に担保されており、配合量の上限も定められています。ですがアレルギー体質の方や敏感肌の方にはごく稀に刺激となる場合もあるかもしれません。とはいえ、“ごく稀”なケースであり、菌が増殖したコスメを使う方が肌にとってダメージとなることもあるので、防腐剤配合のコスメを過度に避ける必要はありません。

防腐剤フリーの商品は菌が増殖しやすい?

コスメの品質を守るために防腐剤は必要な成分ですが、「防腐剤フリー」「パラペンフリー」の商品が菌が増殖しやすく危険ということでもありません。こういった商品は防腐剤ではなく、抗菌や静菌作用のある成分を配合して品質を保っているからです。ただ、防腐剤が配合された商品よりは防腐効果が劣るため、開封したらなるべく早めに使い切るようにしましょう。

防腐剤は安全にコスメを使用していくために必要な成分と理解しましょう

防腐剤は安全にコスメを使用するためには欠かせない成分ということを理解しましょう。認可されている防腐剤であれば問題ありませんし、保湿成分でありながら静菌作用も併せ持つBGやペンチレングリコールなどと組み合わせることで防腐剤の配合量を少なくするなど、現在のコスメには防腐効果も安全性も高くなる技術が施されています。コスメ購入の際には、防腐剤の配合有無を気にし過ぎずにご自身の肌に合うかどうかで判断してくださいね。

この記事を書いた人

田路暢子のアバター 田路暢子 美容ライター

大手化粧品会社の広報担当として約14年従事。その後、美容ライターとしてファッション誌STORYなど女性メディアを中心に活動中。化粧品会社時代に得た知見を元に肌をアップデートできるコスメをデパコスからドラコスまで守備範囲広く探究。コスメ薬機法管理者、日本化粧品検定1級、特級コスメコンシェルジュ。

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