鏡を見て黒ずんだ毛穴にがっかりすることはありませんか?実は毛穴の黒ずみにはいくつかのタイプがあり、それぞれ対処法が異なります。間違ったお手入れを続けると、黒ずみが悪化して逆効果になってしまうことも…。
そこで今回は、美容ライター兼エイジング美容研究家である國光ともこさんに、黒ずみのタイプ別の原因と正しいケア方法、やりがちなNG行動についてうかがいました。自宅で手軽に始められるお手入れを紹介しているので、ぜひ今日から実践して、澄みきったなめらかな美肌を目指しましょう。
毛穴の黒ずみの原因
毛穴の黒ずみを正しくケアするために、まずはあなたの毛穴悩みがどのタイプなのか見極めましょう。
詰まり毛穴による黒ずみ
詰まり毛穴による黒ずみは「黒ニキビ」ともよばれています。特にTゾーンなどの皮脂分泌が盛んな部分にできやすく、鼻の頭から小鼻にかけて黒い点が現れる「いちご鼻」もその仲間です。
詰まり毛穴による黒ずみの元となるのが、毛穴に詰まった皮脂や角質です。皮脂や角質がメイク汚れやホコリと混ざり合い、毛穴に詰まると「角栓(かくせん)」となります。角栓はもともと白っぽい色ですが、酸化すると黒く変色していきます。その結果毛穴のポツポツがより目立つようになるのです。
詰まり毛穴による黒ずみを招く原因として、主に次の3つがあげられます。
角栓の元となる皮脂の分泌が盛んになると、詰まり毛穴のリスクが高まります。生理前や春から夏にかけてのシーズンなど、「肌がべたつきやすい」と感じることはありませんか?これらの時期は皮脂分泌が盛んになる傾向にあります。また寝不足など不規則な生活やストレス、脂っこい食事、乾燥なども過剰な皮脂分泌を招く原因となります。
肌が一定の周期で生まれ変わるサイクルのことを、ターンオーバーと言います。健やかな肌の場合、古くなった角質はターンオーバーにより自然とはがれ落ちて排出されていきます。しかし生活習慣の乱れや乾燥、紫外線などでターンオーバーが乱れてしまうと、古い角質が排出されにくくなり、肌表面に留まって毛穴をふさいでしまうことがあります。古い角質でふさがれた毛穴には皮脂が詰まりやすく、角栓ができやすくなります。
毛穴に残ったメイク汚れは皮脂や角質、ホコリと混ざり合ってやがて角栓になります。クレンジングをおろそかにしている方は要注意です。
メラニン毛穴による黒ずみ
メラニン毛穴は「毛穴ジミ」ともよばれ、毛穴の周りで薄茶色のようなリング状となって現れます。毛穴に詰まった角栓の酸化による「詰まり毛穴の黒ずみ」とは違い、メラニン毛穴は肌内部でメラニンが生成され、毛穴の周りで色素沈着することで発生します。
「メラニン毛穴」と「詰まり毛穴による黒ずみ」を見分けるポイントは、触った時の感触です。詰まり毛穴は触るとザラザラしていますが、メラニン毛穴にはザラつき感がありません。
メラニン毛穴を招く主な原因には、次の3つがあげられます。
肌は紫外線を浴びると褐色の色素「メラニン」を生成し、体内へのダメージを防ごうとします。日差しを浴びると日焼けするのはそのためで、無防備な状態で紫外線にさらされた肌は、メラニンによる色素沈着が起こりやすくなります。毛穴周りの肌も同様です。特に紫外線を浴びやすい鼻などは、より注意が必要です。
肌への摩擦や刺激も、メラニンが生成される原因となります。洗顔の際に肌をゴシゴシ擦る、毛穴の角栓を無理に押し出す、刺激の強い化粧品を使用するなど、肌へダメージを与える行為には気をつけましょう。
メラニンは通常、古い角質とともに肌の上へと押し上げられていき、最終的にはがれ落ちて排出されます。しかし乾燥や冷え、ストレスなどの要因で肌のターンオーバーが乱れると、古い角質と同様にメラニンも排出されにくくなり、色素沈着が起こりやすくなります。
たるみ毛穴による黒ずみ
たるみ毛穴による黒ずみは、年齢を重ねた肌に現れやすい肌悩みです。毛穴は本来、丸い形をしています。しかし肌がハリや弾力を失うと、毛穴は下に引っ張られて縦長のしずく状に広がる傾向にあります。広がった毛穴に汚れがたまると、それが黒ずみに見えるのです。
ただしたるみ毛穴は、年齢を重ねた肌の他、次の3つの要因にも関係しています。
肌の悩みは年齢とともに変化していきます。年齢を重ねるにつれて「肌悩みが変わってきたな」と感じたら、お手入れの見直しを検討しましょう。
水分量が十分な肌はつややかで、ハリに満ちています。一方、水分量が足りない肌にはツヤが少なく、乾燥による肌悩みに見舞われがちです。うるおい不足は肌を不安定な状態へと導くだけでなく、放置するとハリや弾力まで失うことも少なくありません。ハリ不足でしぼんだ印象の肌が、毛穴をたるんで見せるのです。
生活習慣や何気ないクセが、肌のハリや弾力に影響を与えているケースもあります。不十分なUVケア・睡眠不足・偏食・喫煙などは、体内の活性酸素が増えるリスクを高め、肌の老化につながります。他にも、スマホやパソコンに集中して顔の表情が乏しくなることによる表情筋の衰えが、肌のたるみを招くこともあります。
正しい毛穴の黒ずみケア方法
「お手入れしても結果が出ない…」その理由は、毛穴の黒ずみタイプに合わない対策をしているからかもしれません。そここからは、毛穴の黒ずみタイプ別の正しいケア方法を紹介します。
詰まり毛穴による黒ずみの正しいケア方法
詰まり毛穴による黒ずみ対策でポイントとなるのが「角栓ケア」「皮脂をコントロールするケア」です。それぞれのポイントや注意点を見ていきましょう。
毛穴に詰まった角栓は、毛穴パックなどが有効です。また酵素洗顔・ピーリング・クレイパック・拭き取り化粧水などで、角栓の元となる古い角質をお手入れする方法もあります。
注意したいのが、アイテムの使用頻度です。やりすぎは肌を傷めてしまうため、適切なペースを守ることが大切です。毛穴パック・ピーリングなどは、1週間ほど空けながら使用するのがおすすめです。事前にパッケージをチェックして、お手入れの頻度を確認してくださいね。また角栓ケア後の肌は乾燥しやすくなっているため、保湿は念入りに行いましょう。
過剰な皮脂分泌が気になる肌には、「ビタミンC誘導体」「ライスパワーNo.6」などの成分で肌環境を整えることが大切です。スキンケアアイテムを選ぶ際は、成分に注目してみてください。オイリー肌の場合は、肌をキュッと引き締める収れん化粧水でのお手入れもおすすめです。
また乾燥でうるおいバランスがくずれた肌は、皮脂の分泌が盛んになることがあります。お手入れの際には丁寧な保湿を心がけましょう。
メラニン毛穴による黒ずみの正しいケア方法
メラニン毛穴による黒ずみは、メラニンにアプローチするお手入れで対策しましょう。毎日のUV対策に加え、メラニンケア成分配合のスキンケアアイテムや、インナーケアを取り入れるとより効果的です。肌の内と外、両面からのお手入れを意識しましょう。
「トラネキサム酸」「アルブチン」「ビタミンC誘導体」「ナイアシンナミド」
美肌を育む上で欠かせないのが、食生活です。毎日の食事で栄養バランスを意識し、注目の栄養素「ビタミンエース(ACE)」を積極的に取り入れましょう。ビタミンエースとは、ビタミンA・ビタミンC・ビタミンEのことを言います。健やかな体作りはもちろん、美容効果も期待できます。
トマト・パプリカ・かぼちゃ・春菊などはビタミンA・C・Eをすべて含む食材ですが、毎日食べるのは大変です。そんな時はサラダにナッツを加えてビタミンEを補うなど、ちょっとした工夫で栄養バランスを整えられますよ。
たるみ毛穴による黒ずみの正しいケア方法
たるみ毛穴による黒ずみ対策でかぎを握るのが「ハリ・弾力にアプローチするケア」「毛穴を引き締めるケア」です。エイジングケア※成分や肌の引き締めにアプローチする成分配合のアイテムをお手入れに加えながら、たるみを招く生活習慣も見直していきましょう。
※年齢に応じたお手入れのこと
「レチノール」「ナイアシンアミド」「コラーゲン」「エラスチン」
「ビタミンC誘導体」「グリチルリチン酸ジカリウム」「レチノール」「ナイアシンアミド」
毛穴の黒ずみにNGなケア方法
よかれと思ったお手入れが、悪化を招くNGケアだった…というケースも少なくありません。大切な素肌を傷めないために、次のNG行動には注意してくださいね。
毛穴の黒ずみタイプに合わないお手入れ
お手入れする前に、まずは自分の毛穴の黒ずみタイプを判断しましょう。「詰まり毛穴」に「メラニン毛穴」の黒ずみケアをしても、成果は期待できません。毛穴の黒ずみを改善するためには、タイプに合ったお手入れを継続することが重要です。
頻度を無視したやりすぎケア
「お手入れはやればやるほど効果がある」そんな誤解をしていませんか?スクラブやピーリング、毛穴パックなどはやりすぎると逆に肌を傷め、色素沈着につながるリスクもあります。使用頻度を守り、肌に過度な負担を与えないようにしましょう。
洗顔時のゴシゴシ洗い
肌の汚れをしっかり落としたいばかりに、つい肌をゴシゴシ擦り洗いしていませんか?摩擦や刺激は肌を傷めると同時に、色素沈着のリスクをも高まります。洗顔はなるべく肌に刺激を与えないように行うことが鉄則です。手のひらでたっぷりの泡をつくり、泡をふんわり転がすように優しく洗いましょう。
刺激の強いスクラブでのお手入れ
古い角質を落とすために、粒子の粗いスクラブで肌を擦っていませんか?顔の皮膚はデリケートです。スクラブでの摩擦が刺激となり、肌を傷つけてしまう可能性があります。肌当たりがマイルドなスクラブを選び、お手入れのペースも守るよう心がけましょう。また肌が乾燥していたり、デリケートに傾いているときは、スクラブの使用は控えた方がよいでしょう。
角栓の押し出し
「毛穴のポツポツが気になる…」と器具や爪を使って無理やり角栓を押し出していませんか?実はその行為が毛穴を傷つけています。傷ついた部分から雑菌が入ると、肌が炎症を起こすことも。角栓は毛穴や素肌に負担をかけない方法で落としましょう。
吸着力の強いパックのやりすぎ
吸着力の強いパックは、角栓を落とすのに便利です。しかし使い過ぎると毛穴まわりの肌に強い刺激となり、逆に症状が悪化する可能性もあります。過度な使用に注意してくださいね。
保湿不足
肌の乾燥は、毛穴を開かせる一因となります。毛穴の開きを防いで健やかな肌を維持するために、保湿は念入りに行いましょう。うるおい成分たっぷりのフェイスマスクは、手軽にお顔全体を保湿でき、毛穴のお手入れにも効果的です。
まとめ
今回は毛穴の黒ずみタイプ別の原因や正しいケア方法、やりがちなNG行動について、美容家の國光さんに紹介していただきました。毛穴の黒ずみを解消へと導くポイントは、自分の毛穴タイプを見極めたうえでの適切なお手入れにあります。自分に合った正しいケアを継続しながら、健康的なライフスタイルを送ることが、美肌への近道です。あなたも輝く素肌を手に入れて、毎日をイキイキと楽しんでくださいね。