コスメのパッケージに書かれている商品紹介や、雑誌やWebの美容ページなどを読むと、皮膚の構造に関する用語がまるでテストの頻出単語のように出てくると思います。例えば、「角層」「表皮」「真皮」など。でも、それぞれが肌の中でどのような働きをして、コスメがどの部分に働きかけているかをきちんと理解してスキンケアをしている方はきっとそう多くはないですよね。
そこで今回の記事では、肌を美しく保つために知っておきたい「皮膚の構造」について、そして日頃使っているコスメが皮膚にどう作用しているのかをご紹介します。
肌を美しく保つために皮膚の構造について理解しましょう
皮膚は身体全体を覆って生命活動を守る大切な器官であり、人体最大の臓器とも言われています。水分を保持したり、外部からの異物の侵入を防いだりする役割を果たしています。皮膚は大きく分けると表皮、真皮、皮下組織という3つの層から成り立ち、それぞれ異なる働きをしながら連携することで肌の健康を保っています。ここでは3つの層の役割について確認します。
外部の刺激から身体を守る「表皮(ひょうひ)」
目に見える一番外側の部分です。平均約0.2mmほどの厚さで外界からの保護壁となり、さまざまな刺激を身体の内部に伝えない仕組みになっています。水分の保持や感染からのバリアとして機能し、皮膚の生まれ変わり(ターンオーバー)も担っています。
皮膚のハリや弾力を保つ「真皮(しんぴ)」
表皮の下にあり、皮膚のハリと弾力を保つ中心的な部分です。コラーゲンやエラスチンなどの線維成分で構成され、ヒアルロン酸も含まれています。これらの成分が皮膚のクッションとなり、皮膚の弾力を生み出しています。また、皮脂腺や汗腺など大切な器官も集まっています。
皮膚最深部で皮膚を支える「皮下組織(ひかそしき)」
真皮の下にあり、皮膚最深部に位置します。皮膚と筋肉・骨をつなぎ合わせることで皮膚の安定性を保つ役割を持ちます。脂肪をつくって蓄える働きをしたり、動脈や静脈などの血管もここにあります。
皮膚の役割とコスメに関係の深い基本的な用語を知ってスキンケアの目的を理解しましょう
先に書いたとおり、皮膚は大きく「表皮」「真皮」「皮下組織」の3つの層に分かれていますが、その3つの層の中でさらに細胞や組織が存在し、それぞれの役割を果たしています。
ここからは私たちがコスメのパッケージや美容ページを読んだ際、頻繁に目にする皮膚に関する基本的な用語についてその役割を確認していきましょう。理解すれば、化粧水や乳液などを使う理由や目的、美容液などのスペシャルケアアイテムが肌のどの部分に働きかけているのか、など理解できると思いますよ。
角層(かくそう)/バリア機能(ばりあきのう)
表皮のなかで最も外側にあるのが「角層」です。角層細胞が10~20層重なって角層をつくり上げ、外界からの刺激や乾燥、紫外線などの外的刺激から肌の内側を守る役割を果たしています。
スキンケア商品の説明によく見られる「バリア機能を整える」とは、この角層の中の水分と油分のバランスを整えることです。バリア機能が低下すると、外界からの刺激を受けやすくなり、乾燥やかゆみ、肌あれを引き起こします。朝夜のスキンケアで化粧水と乳液を使い、水溶性と油溶性の両方のうるおい成分を肌に与えるのはバリア機能を整えることが目的になります。
肌のキメ(きめ)
「肌のキメが整う」という表現もよく目にすると思います。肌のキメとは、皮膚の表面上にある「皮溝(ひこう)」と呼ばれる網目状の溝と、その皮溝に囲まれたひし形や三角形で少し盛り上がって高くなっている「皮丘(ひきゅう)」の凹凸のことを意味しています。
肌のキメを整えるには、クレンジングや洗顔の際に肌を擦らず優しく洗い上げ、化粧水や化粧水タイプのフェイスマスクでたっぷりと肌に水分を補うことが大切です。キメが整うと光が乱反射して、肌はツヤが満ちた状態になります。
ターンオーバー(たーんおーばー)/角質(かくしつ)
ターンオーバー(新陳代謝)とは、表皮の一番奥で生まれた細胞が必要な働きをしながら、肌の表面へと上がっていき、古い角質(アカやフケ)となって自然にはがれ落ちることです。ターンオーバーの周期は約28日が理想的とされていますが、加齢や紫外線、肌あれによって乱れてしまいます。古い角質が肌表面に溜まると肌がごわついたり毛穴が詰まったりして、ザラつきが気になるようになります。化粧ノリも悪くなるため対策が必要です。
酵素洗顔料やピーリング剤入りの美容液を用いて肌を擦り過ぎずやさしく落とすと良いでしょう。週1回程度の使用が推奨されてる商品が多いので、使用目安を確認してから使ってください。また、保湿を徹底することがターンオーバーを促すことになるので、洗顔後はしっかりと保湿しましょう。
真皮(しんぴ)
真皮は先にも書いたとおり、肌のハリや弾力を担う組織になります。例えば、シワについての説明の際、「乾燥小ジワ」と「表情ジワ」と分けられていると思いますが、乾燥小ジワは乾燥によってできる細かいシワのことで、皮膚の浅い表皮で起こっています。一方、表情ジワは額や口元などにできるシワで、真皮の機能低下によって起こります。
乾燥小ジワの対策が保湿ケアなのに対し、表情ジワには医薬部外品の美容液などが有効です。例えば、シワ改善の有効成分であるニールワン、レチノール、ライスパワー(R)no.11+などは真皮の奥深くまで浸透して、シワの原因となる酵素の働きを抑えます。「たるみ」も同様で、有効成分にはコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸などがあり、これらも真皮に働きかけています。また、表情ジワやたるみ対策には美容クリニックでの施術も選択の1つになります。
皮膚の構造を理解してスキンケアをしましょう
今回はコスメのパッケージや美容ページなどを読めば必ず出てくるような皮膚の構造のもっとも基本的な用語をご紹介しました。基本を知っておくだけで、コスメを選ぶ際に商品の理解が深まったり、肌のどこに作用するのかがわかり、適切なコスメ選びができるようになると思います。ぜひ参考にして、自分の肌に合ったスキンケアを実践してくださいね。