洗顔の正しいやり方とNG方法を美容家が解説

洗顔の正しいやり方とNG方法を美容家が解説

洗顔はスキンケアの最初のステップ。つい「汚れが落ちればいい」「保湿に力を入れたいから、洗顔は手頃なもので済ませよう」「時間がないし適当で」と考えがちですが、実は洗顔こそが美肌の土台となる大切なステップです。

毎日の積み重ねや、洗顔方法、肌への触れ方といった何気ない習慣が、美肌を育むことにも、肌トラブルの原因にもなります。美容家の永松麻美さんに洗顔のやり方やよくある質問についてうかがいました。この機会に、洗顔の正しいやり方を見直してみませんか?

目次

間違った洗顔が肌トラブルにつながることも

洗顔の役割は、クレンジング後のメイクの洗い残しや古い皮脂・角質を流すこと。間違った洗顔を続けていると、かえって肌トラブルの原因になってしまうこともあります。

肌には、「皮脂膜」という天然のバリア機能があります。皮脂膜は、うるおいを保ち、紫外線やホコリなどの外部の刺激から守り、常在菌のバランスを整えるために必要です。

しかし、間違った洗顔や洗い過ぎは、この大切な皮脂膜を奪い去ってしまい、乾燥、敏感肌、ニキビといった肌トラブルのリスクが高まります。また、日々の摩擦によってキメが乱れ、毛穴が目立つ原因にもなります。

特に、洗い過ぎには注意が必要です。皮脂は時間が経つと再び分泌され自然と皮脂膜を形成しますが、1日に何度も洗顔すると皮脂の分泌が追いつかず乾燥を引き起こす原因となってしまいます。

また、洗顔時にはこすりすぎないようにしましょう。摩擦によって肌が傷ついたり、角層や毛穴が潰れてしまうことで肌トラブルを招いてしまいます。

洗顔の正しいやり方

正しい洗顔をする際に、まずは洗顔の役割のおさらいをしましょう。夜の洗顔はクレンジング剤の残りを含めた汚れを、朝の洗顔は寝ている間に付着した皮脂や角質汚れ、ホコリなどをキレイにする役割があります。

夜の洗顔は日中使用するメイク・クレンジング剤との相性を含めて選び、朝は刺激が少なく、皮脂膜を落とし過ぎず、乾燥しにくいものを選びましょう。朝晩いずれも、肌に近い弱酸性のものがおすすめです。

洗顔の準備と泡立てについて

朝起き抜けや帰宅時には、洗顔前に手を洗って、手指を清潔にしましょう。特に汚れていなければ手洗いは不要です。

次に、32℃くらいのぬるま湯で顔全体を軽く予洗いして、ホコリや軽い汚れを落とします。予洗いである程度汚れを落とすことで、洗顔料で洗う時間を短縮することにもつながります。

クリームやペーストタイプの洗顔料であれば、しっかりと泡立てることで、お肌への摩擦が軽減できます。泡立てが苦手な場合は泡立てネットを使用すると簡単にしっかりとした泡を作れます。泡のまま出てくるポンプタイプを選べば、さらに簡単に泡洗顔できます。

泡立てないジェルタイプの洗顔料の場合は、すこし量を多めにすると摩擦を軽減できます。

正しい洗い方をマスターしよう

洗顔料の泡は、Tゾーンなど皮脂の多い場所からのせ、その後、顔全体に広げていきます。

手の力を抜いて、指の腹で優しく、くるくると小さい円を描くように洗います。縦方向にスライドする動きはつい力が入り摩擦が起こりがちなので、優しく円を描くのがポイントです。泡をクッションにして転がすように、直接顔に指が触れないように洗顔してみてください。

頬の高い所は特に摩擦が起こりがちなので、優しく洗うことを意識しましょう。また、生え際、首との境目やあご裏のフェイスラインは洗い残しやすい場所なので注意を。肌に泡をのせている時間の目安は、顔全体で約1分です。

泡すすぎのポイント

洗顔の仕上げはすすぎ。目視できる泡がなくなっても肌に洗顔料は残っていることもあるので、泡がなくなれば洗い流し終了ではありません。すすぎが甘いと、残った洗顔料が肌トラブルの原因になることも。30回を目安に、32℃程度のぬるま湯ですすぎましょう。

泡は上から下に垂れるので、生え際からすすぎましょう。生え際、首との境目や、あご裏のフェイスラインは特にすすぎ残しやすいので、注意して洗い流しましょう。

タオルドライも重要

洗い流した後は無意識にタオルでゴシゴシ拭いてしまいがちですが、摩擦で肌に負担がかかってしまいます。正しいタオルドライのポイントは、肌を擦るように「拭く」のではなく、タオルで顔の水分を吸収させるように、優しく肌に当てましょう。

タオルが汚れていたり、洗濯が不十分で柔軟剤や洗剤が残っていると、肌が敏感な人にとっては刺激になります。最近は顔を拭くための使い捨ての洗顔用ペーパータオルも販売されているので、タオルの清潔さが気になる人は使ってみましょう。

間違った洗顔方法

意外にやってしまいがちな間違った洗顔方法についてお伝えします。施術時のヒアリングでも、間違った洗顔をしている人は少なくありません。自分も無意識にやっていないか、振り返ってみましょう。

朝洗顔料を使わない

朝は洗顔料を使わず、ぬるま湯で洗顔する人もいますよね。肌タイプによっては洗顔料を使用しないやり方が合う場合もありますが、、基本的には洗顔料を使いましょう。

なぜなら、夜寝ている間にも皮脂や汗は分泌されるため、朝の顔は皮脂や汗で汚れているからです。「洗顔料を使うとつっぱる・乾燥する」という方は、洗顔料選びから見直してみましょう。

シャワーのお湯

表皮と真皮を合わせた皮膚の厚さは約2mmで、ラップ1枚程度の薄さです。そのくらい薄くて繊細な肌にシャワーの圧力を思い切りかけると負担になることがあります。お湯を手にとって、優しくすすぎましょう。

小鼻ゴシゴシ

毛穴が気になるからと、つい力が入りがちな小鼻部分。しかし、先述したように皮膚は非常に薄いため、ゴシゴシ擦るとダメージを与えてしまい、乾燥やザラつき、赤みにつながる可能性も。

小鼻が気になる場合は、洗顔前にホットタオルであたためたり、酵素を配合した洗顔を使用したりするのがおすすめです。すこやかな肌を目指して、洗顔後に保水を目的としたシートマスクを使用することもおすすめです。

熱いお湯

熱いお湯で顔を洗うと、先述の皮脂膜をごっそり取り去ってしまいます。また、洗顔後の水分蒸発が加速して、みるみる砂漠のような乾いたお肌になってしまうことも。

バリア機能が低下して、外部刺激に弱い敏感状態を防ぐために、32~34℃程度のぬるま湯で洗いましょう。

よくある洗顔の悩み

ここでは、よくある洗顔の悩みについて解説します。ぜひ参考にしてみてください。

洗顔料での泡パックって肌にいいの?

洗顔料での泡パックは基本的にはおすすめしません。洗顔料はパックとして使える様につくられてはいないので、肌に長時間のせることで思わぬ肌トラブルの原因となる可能性があります。

ただし、泡パックとして使えるようにつくられている製品もあります。泡パックを試したい場合は、泡パックとして使えることが明記されたアイテムを選び、規定よりも短めの時間から始めてみましょう。

洗顔後、お肌がつっぱる感じがする

洗顔後お肌がつっぱる場合、まずは長時間洗っていないか、お湯の温度が熱過ぎていないかを確認しましょう。洗顔料で洗う時間は約1分、お湯の温度は約32~34℃程度が目安です。

時間と温度を見直してもつっぱるのであれば、洗顔料の洗浄力が強い可能性も。乾燥やつっぱりが起こりやすい人は弱酸性で洗浄力が穏やかなアイテムを選んでください。洗顔後にシートマスクなどで保湿をすることもおすすめです。

まとめ

今回は美容家の永松さんに、健康なお肌を育むための正しい洗顔方法と、知らず知らずのうちにやってしまいがちなNG習慣について解説していただきました。

洗顔は、肌のうるおいを保つ皮脂膜を守りながら、汚れを落とすことが重要です。正しい洗顔のステップ、すすぎ方、タオルドライの方法など、具体的なテクニックを紹介しました。この記事を参考に、毎日の洗顔を見直して、健やかで美しい肌を目指しましょう。

この記事を書いた人

自分自身が、ニキビやアトピー、肥満で容姿コンプレックスの塊だったことから美容の道を志し、エステティシャンに転身。女性がキレイになっていくことで自信を持ち、生き生き輝く姿に変化する魅力に惹かれて資格取得、サロン勤務経験後、エステサロン&スクールを開業し、1万人以上の美容に携わる。エステティシャンとしてのサロンワークだけでなく、美容家として、記事執筆、美容講座、プロ向けの講座、メディアで美容情報を発信するなど活動は多岐にわたる。
著書に「シワとりパーフェクトブック」(産業編集センター)、「正しい知識がわかる美肌事典」(高橋書店)、「キレイかどうかは自分で決める」(笑がお書房)、「2万人の肌を見て気が付いた、キレイの法則 表情筋ほぐし」(PHPエディターズ・グループ)がある。

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