日焼け止めは、明るく美しい肌を守るために、毎日の紫外線対策に欠かせないアイテムです。日焼け止めの効果や持続時間は、ちょっとした工夫で差がつくことをご存知ですか?
今回は美容家の國光さんに、日焼け止めの効果や持続時間を高めるために、普段取り入れている使い方のコツについてうかがいました。SPF・PAについてなど、日焼け止めに関する基礎知識やシーン別の日焼け止めの選び方についても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
日焼け止めの効果と持続時間
日焼け止めを一度塗った部分は、落とすまで日焼け止め効果が持続するわけではありません。日焼け止めは、いくらていねいに塗っても、汗や皮脂、摩擦などで自然と落ちていくもの。日焼け止めが落ちてしまった部分は、紫外線の防御効果は期待できません。水や汗に強いウォータープルーフタイプやロングラスティングタイプのアイテムでも、状況に応じて塗り直しが必要です。
日焼け止めの「日焼け止め効果パワーのレベル」と「日焼けを防ぐ機能の持続時間」は、アイテムごとに「SPF」「PA」の数値で記載されています。日焼け止めは、いつ・どこで・どのような目的で使うのかによって、「SPF」「PA」の適したアイテムを使用することが大切です。
SPFやPAの数値を気にせずにアイテムを選んでしまうと、せっかく日焼け止めを塗っても日焼けしてしまったり、かえって肌に負担をかけてしまうことも。状況に合わせて日焼け止めを正しく選ぶために「SPF」と「PA」について理解しておきましょう。
UVBをカットする「SPF」
UVB(紫外線B波)は、主に肌の表面に炎症を起こす紫外線で、日焼けで肌が真っ赤になる「サンバーン」やヒリヒリとした刺激の原因となります。別名「レジャー紫外線」と呼ばれ、春先から急激に増加して、5~8月頃にピークを迎えます。9月に入ると徐々に減少し始め、12月頃には8月の1/5程度に落ち着く傾向にあります。UVBは、春先から秋口にかけて注意が必要です。
このUVB(紫外線B波)をどれだけカットできるかを表す指数が「SPF」で、「SPF10」のように数字とセットで記載されています。
SPF値は、素肌に比べて日焼けが起こるまでの時間をどれだけ長く伸ばせるか、日焼けを防ぐ機能の持続時間を知るためのヒントとなります。素肌の場合、UVBが降り注いでから肌にダメージを与えるまでの時間は、およそ20分と言われています。20分は1SPFに換算され、SPF10のアイテムなら200分(3時間20分)ほど日焼けを防げるという目安になります。
UVAをカットする「PA」
UVA(紫外線A波)とは、肌の奥深くの「真皮」まで届いて、じわじわと肌へのダメージを蓄積させる紫外線です。肌の奥にある「メラノサイト」を刺激してメラニン色素の生成を促し、肌が褐色になる「サンタン」やシミの原因となります。
さらに肌のハリ・弾力をつかさどるエラスチンやコラーゲン繊維にダメージを与え、シワやたるみなどを引き起こします。つまり、肌老化に大きな影響を与える紫外線です。
UVAは地表に届く紫外線のうち9割以上を占め、雲や窓ガラスを透過するうえ、季節を問わず降り注ぎます。別名「生活紫外線」と呼ばれ、屋内や通勤中、曇りの日や冬場の外出時でも油断できません。UVAから肌を守り、肌老化を遅らせるためには、日焼け止めを一年中塗ることが大切です。
このUVA(紫外線A波)を防御するパワーのレベルを表すのが「PA」で、「PA++」のように、プラスの記号とセットで記載されます。「PA+」〜「PA++++」の4段階で表示され、「+」の数が増えるほど、UVAのダメージを防ぐパワーが強くなります。
日焼け止めのSPFとPAの選び方
「SPFとPAの数値が高いから」という理由で、いつも同じ日焼け止めを使用していませんか?SPFとPAは数値が高いほど、肌に負担をかけるリスクも高くなる傾向にあります。日焼け止めのせいで肌トラブルを招いてしまわないよう、「機能」と「肌への負担」のバランスを考慮して、上手に日焼け止めを選ぶのが基本です。
SPFとPAは数値が高いほど、人によっては刺激を感じることがあったり、きちんと落とせず毛穴詰まりによる肌トラブルを招いてしまうこともあるので、シーンに合わせて使い分けたり、丁寧に落としたりという工夫が必要です。
肌への負担を軽減するために大切なのは、「落とす」ケアです。日焼け止めを塗った日は、いつもより念入りにクレンジングをすると良いでしょう。毛穴の奥までしっかりクレンジングできて、肌のうるおいも考慮されたオイルやバームタイプがおすすめです。
さらに、SPFとPAの数値を、使用するシーンに応じた「UV注意度」に合わせることで、肌への負担を軽減しながら適切に紫外線を防御できます。たとえば、朝ペットの散歩に近所を歩くだけならUV注意度はそれほど高くありません。そんなときはSPF・PA値が控えめのアイテムがぴったり。
反対に、UV注意度がぐっと高まる真夏の炎天下でのレジャーでは、SPF・PA値が高いアイテムでしっかり紫外線を防ぎます。肌を紫外線ダメージから守るために、紫外線が強い時期や長時間日に当たるシーンでは、怖がらず数値の高いものを使ってもらいたいです。
日焼け止め成分(紫外線防止剤)の種類と効果
日焼け止めをはじめ、UVカット機能のあるアイテムが紫外線をカットできる秘密は、配合されている紫外線防止剤(日焼け止め成分)にあります。
紫外線防止剤は主に「紫外線散乱剤」と「紫外線吸収剤」の2種類に分けられ、両方を組み合わせた処方が一般的です。また「ノンケミカル処方」と呼ばれる「紫外線吸収材」を配合していないアイテムもあります。
「紫外線散乱剤」と「紫外線吸収剤」は、それぞれ異なったアプローチで紫外線から肌を守ります。近年は、それぞれの長所をミックスした「ハイブリッド型」と呼ばれる日焼け止めも人気です。
紫外線散乱剤とは
紫外線を跳ね返し、散乱させる機能で肌をガードします。肌への刺激が穏やかな反面、白浮きや乾燥、きしみ感、使用感がやや重いなどのデメリットを感じる場合があります。
紫外線吸収剤とは
紫外線のエネルギーを吸収し、熱や赤外線などに変えて放出させる機能で肌をガードします。白浮きしにくい、のびが良い、使い心地が軽い、汗水に強い、優れた紫外線防御機能などのメリットがあります。
しかし紫外線散乱剤と比べ、肌に刺激を与えるリスクが高い傾向にあります。肌が敏感なときは、紫外線吸収材は不使用の「ノンケミカル処方」の日焼け止めがおすすめです。
日焼け止め効果を長持ちさせる方法
紫外線対策に気を遣っていても「日焼け止めは適当に塗っておしまい」という方も多いのでは?日焼け止めの効果や持続時間は、ちょっとした工夫でアップします。ぜひ以下の方法を参考にしてください。
まずは丁寧な土台づくり
日焼け止めを長持ちさせるための最初の1歩が「土台づくり」です。日焼け止めを塗る前に、スキンケアで丁寧に肌を整えることから始めましょう。
キメが乱れた肌や皮脂でベタついた肌に日焼け止めを重ねると、ムラになったり、くずれやすくなります。適切なスキンケアで、肌を保湿する、肌を引き締める、余分な皮脂を抑えることが大切です。肌を整えた状態で日焼け止めを塗ることで、密着度がアップし、日焼け止めの持続効果が高まるはずです。
適量を顔全体に均一に塗る
いくらSPFやPAの数値が高い日焼け止めでも、量が不足していると、効果も持続性も期待できません。日焼け止めは適量を使用し、塗り残しのないよう顔全体に均一に付けることが、効果を引き出すポイントです。顔全体に使用する量の目安は、リキッドタイプで500円玉大くらい、クリームタイプでパール2粒分くらいが一般的です。
日焼け止めを直接肌にのせて伸ばすのではなく、まずは指にとります。額・鼻・あご・両頬の5箇所にのせ、顔の中心から外に向けて均一に広げていくと、塗り残しを防ぎながら、均一に仕上がりますよ。
重ね塗りでムラなく仕上げる
日焼け止めの塗り方にムラがあると、部分的に日焼け止め効果に差が出てしまいます。ムラを防ぎながら、紫外線防御力をよりアップさせるためには、重ね塗りが効果的です。
日焼け止めの効果と持続時間をアップさせるためには、顔全体に適量の日焼け止めを塗った後、もう一度同じ要領で上から重ね塗りをしてください。薄づきで伸びが良く、肌が白くなりにくいアイテムを選べば、厚塗り感や顔の白浮きを避けられます。
ハンドプレスで肌に密着させる
日焼け止めを塗り終わったら、肌を手のひらで包み込むようにして優しくハンドプレスしましょう。ハンドプレスのひと手間で、日焼け止めがより肌に密着し、持続効果もアップします。後に使用する化粧下地やファンデーションのなじみもよくなりますよ。
UV系アイテムのミルフィーユづかい
日焼け止めの効果と持続性をサポートするために、スキンケアやベースメイクにもUVケアアイテムを重づかいするのがおすすめです。UVケア化粧水・乳液・美容液、UVカット下地、UVファンデーション、UVパウダーなど、UVカット機能のある様々なアイテムが展開されています。
いくつかのアイテムをミルフィーユのように重ねることで、紫外線を徹底的にガード。 組み合わせるアイテムは、季節や肌状態に応じて使い分けるのがポイントです。
フィックスミストでくずれを防ぐ
メイクの後やメイク直しの際は、仕上げにメイクフィックスミスト(化粧くずれ防止スプレー)をシュッとひと吹き。ミストを吹きかけることで、コーティング力が高まり、日焼け止めやメイクの密着度もアップします。肌の乾燥防止にもおすすめ。
UV機能を持つミストなら、メイクくずれや乾燥、紫外線ダメージを同時に防ぎます。
ラクちんアイテムで塗り直しストレスを軽減
日焼け止めの効果を持続させるためには、こまめな塗り直しが大切です。理想的な塗り直しの頻度は、およそ2~3時間おき。
面倒に感じる方は、スプレータイプやパウダータイプの日焼け止めがおすすめです。メイクの上から使えて、手も汚れにくく、外出先でも手軽に塗り直しができます。「面倒くさい」からくるストレスが軽減できて、塗り直し忘れも減るはずですよ。
きちんとオフして肌をリセット
日焼け止めは、毎日塗ることはもちろん、きちんと落として肌をリセットすることも大事です。落としきれなかった日焼け止めは、毛穴を詰まらせ、肌トラブルの原因に。クレンジング剤を使用して、毎日丁寧に落としましょう。
ウォータープルーフタイプなど落ちにくいアイテムを使用した日は、特に念入りにオフしてくださいね。
UV対策アイテムで日焼け防止効果をさらにアップ
日傘や帽子、サングラス、UVカットウェアなど、肌を覆うUV対策アイテムを活用しましょう。日焼け止めだけでは防ぎきれない紫外線も、頼もしくブロックしてくれますよ。日焼け止めを使用できない時のUV対策としても便利です。
まとめ
今回は、日焼け止めの効果と持続時間、日焼け止めの基礎知識や選び方、日焼け止め効果を長持ちさせる方法を美容家の國光さんにうかがいました。ちょっとしたひと工夫で、日焼け止めの持ちや仕上がりがアップします。
日常生活での紫外線対策はもちろん、外で思いきり楽しみたいレジャーや行事など、この記事を参考に日焼け止めを上手に使いこなしてくださいね。「きれい」は日々の積み重ね。肌状態やシーンに合わせて日焼け止めを使い分け、すみきった美しい肌をキープしていきましょう。